こんな速度ではきっと君の横を走れない

 

小さい。小さすぎた。

 

HiHi Jetsの2021年最大のビッグイベント、代々木第一体育館での初単独アリーナ公演が終わりました。

埋まらないんじゃないか、まだ早いんじゃないか。そんな言葉を目にしていた8月の夜の匂いを今でも鮮明に思い出せる。

あの日からずっとずっと期待していた。アイドルに期待をしない私が珍しく期待をした。

落選の文字を見るのが怖いと思ったのは何年ぶりだろうか。ハードルを上げすぎて、素晴らしい公演を素晴らしいと思えなくなったらどうしよう、と不安になる日もあった。

そんな不安とは裏腹に着々とその日は近づいていった。私は有難いことに五騎当選をキメ、周りの人々にも恵まれ、お席をご用意していただける運びとなったのです。

 

小さすぎた。猪狩くんが、HiHi Jetsが。

 

夏は肉眼でしっかりと見えた表情が、双眼鏡を通してもはっきりと見えなかった。なんだかずっと夢心地で、あれだけ楽しみな時間は沢山あったのに、嵐のように過ぎ去った楽しい時間が少し憎い。

 

 

 

このコンサートをどんな切り口で、思い出として残すのかとても迷ったのだけれど、やっぱり私は猪狩くんの言葉がとてもとても好きだから、21日夜公演、最後の挨拶を軸にこの公演を大切にとっといておこうと思う。

 

 

私は緑色のペンライトの海が地球上に存在する美しいものの中で1番好きだ。それは猪狩くんだから、という意味も勿論あるけれど、前世で色々あったヲタクなので、そういう心理も働いたエゴである。

 

キャパが今までと比べ物にならない今回の公演。私はいち観客ではなく、景色になる覚悟を持って挑んだ。今までひとりひとりに応えようとしてくれていた猪狩くんだけれど、この公演だけはそうはいかない、と。だったら、景色として、その役割を全うすることで、よりよいコンサートになれば。そんなふうに思っていた。

だから私はそんな素敵な景色をどうしても見せてあげたかった。猪狩くんがアリーナに立つこと以上に、今まで見たことの無い広い広い海が見れることをとても楽しみにしていた。だから毎公演、fenceのイントロと共に緑に変わっていく会場を眺めてはうるっときてしまった。

 

そんな景色をあなたは「僕のことが好きじゃなくても緑色にしてくれて、ありがとう」と。

そう言ったのです。

見せたい、という思いが、ただの自己満足なはずなのにどこか報われたような気がした。

強制じゃないですから無理はしなくていいけれど、とその後に付け足した。その言葉にどこか悔しさを覚えつつも、自分を強く持ち、影響を与える側の人間なのに強制はしないというあなたの人となりが本当に大好きだと思った。

 

 

 

そして私は猪狩担になってからずっと、「猪狩くんがエンターテイナーのプロなら、私はヲタクのプロでありたい」と言い続けてきた。

 

だからオーラスの挨拶で、「周りを囲む全ての人がプロフェッショナルで超一流」だと、その中にファンを「俺らを広めてくれる皆様」として入れてくれたこと。

 

とてもとても嬉しかった。

 

ファンの位置づけが「俺らを広めてくれる存在」として必要としてくれていることもドンピシャに解釈一致だ、と嬉しくなった。

 

 

そして、私個人の話で恐縮なのだけれど、私の根っことして「人生は苦しくなくちゃいけない」という意識がずっとあって。

楽しさに慣れてしまうと少しの傷がとても痛く感じてしまうから、それが怖くて、楽しさからずっと逃げて生きてきました。

 

でも私、今とっても楽しいんです。人生が。

とっても幸せなんです。

 

なんとなく、ヲタクをしていることに後ろめたさがずっとありました。小さい頃はこんな贅沢していいのか、とか。今だったら、現実を見なくちゃいけないんじゃないか、とか。同じ仲間からも同担拒否という敵がうじゃうじゃいる世界で育って、ライブ中もどこか張り詰めていて。

その不安がこの夏に猪狩くんによって吹き飛ばされて、それでも綺麗な夢を見るために今度は現実をより苦しいものにしようしようと、この3ヶ月は過ごしていたんだと思います。

 

だからね、猪狩くんが念を押すかのように「どうか楽しく、楽しく、ご刮目ください」と言ってくれて、本当に心が軽くなった気がしたんです。

辛い思いをしなくとも、楽しんでいいんだ、幸せでいいんだ、って。

 

「誰一人置いていかない」

この言葉をきっと彼は伝えたかったんだ。

置いていかれないように必死で、毎日を生きて、必要以上に自分を追い込んで生きていたことをやんわり否定して手を差し伸べてくれた彼の言葉に涙が溢れた。

ありがとう。本当にありがとう。

 

でもやっぱり私は、あなたの今を見続けるために今後も緊張感を欲し続けるのだと思う。それでも、壊れずに前を向き続けていられるのはあなたがいつも言葉をくれるからで。アイドルとファン、私にとって1番良い関係性が猪狩くんと作り上げられているんじゃないかなって、我ながらいい関係性だなって、そう思います。

 

 

 

挨拶が終わり、最後の曲。

愛してると何度も叫ぶあなたがとてもかっこよかった。かっこよすぎて、あぁ、ここに辿り着くために今まで生きてきたのかもしれないなんて思ってしまった。

私も愛してる。ツイートしてみたらとてもチープに感じた。同じ言葉なのに、全く重みが違う。

 

私も言葉に重みのある人間に成長したいなって。それはヲタクとしてではなく、人間として。アイドルというコンテンツと向き合って、なにかを得られたなら、それは我々の勝ちなので。

 

 

 

小さすぎた。会場が。

 

もっともっと沢山の緑のペンライトがあなたを照らして欲しい。

もっともっと大きいステージに立つその日を夢見て。

 

猪狩くん、幸せをありがとう。