私とタカハシ

大嫌いだった、ずっと。

 

初めて彼を見た日のこと、今でも鮮明に覚えている。多分、他のどのメンバーよりも鮮明に。

「二宮くんが好き」「おしゃべりを頑張りたい」

そんな風に笑う顔を見て、どタイプの顔きたこれ、と感動した。この子はきっと出世するぞ、と。そんな期待がありながら、私には他に好きなJrがいるの、と何処か他人事だった。

 

少クラで毎週のようにHiHi Jetを歌っていた2015年冬。井上瑞稀くんのターンが綺麗すぎて、「瑞稀のターンと結婚したい❗️」と叫びながら、ジャニワという夢の舞台の存在を知り、今の私を構成したHiHi Jet社歌時代。

中学生だった頃の私はとても純粋で、「この曲を円盤化したい」という理由だけでこのグループのファンになることを決めた。年齢もあり、Jr担を名乗るものの、ただの茶の間。特にグループ内の絡みが好き、という訳でもなかったけれど、橋本、井上、羽場、猪狩にとてもとても執着していた。

 

そんな中、増員してHiHi Jetsとなり、7人になった。Jrの時の流れはやっぱり早いもので、どんな形でさえ受け入れなければならないのだ、と7人であることの価値を必死で探した。人数が増えたことで「ハイハイトレイン」なる新たなパフォーマンスが堪能できるようになり、7人も悪くない、7人について行こうと心を決めた。

 

覚悟を決めた数日後、また4人になった。

そこに結成からいた羽場くんの名前は無く、代わりに彼の名前が並んでいた。

 

 

壊された。

この時だけ、そんなことを思った。別に大した思い出も無いのに、出会った時の形が無くなってしまうことが嫌で、それだけで彼を拒否した。

他にも理由はあった。パフォーマンス至上主義だと思っていた私には、あの8人の中でどうして彼が抜擢されたのか分からなかった。

加入後か前か定かではないけれど、らじらーにも彼は抜擢されていた。スペオキ。これが噂に聞く、社長のスペオキという制度だと、この時に全てを理解した。

 

単なる執着から生まれた違和感が私の中で確実なものとなり、正当化されていった。なんとなく、グループでの仕事が以前より増え、グループカラーを模索する段階となったとき、不協和音が生まれたような気がしていた。今思うと、それが後日、本人からそやゆとのぶつかり合いだと弁解があって本当に良かったと思う。

 

5人になってから確実にHiHiJetsは変わった。

ファンとして戻ってこないか。そう言ってくれるヲタク友達も多くて、段々と彼らをもう一度見ようとする日々が続いた。

そうして、現在の自担と再会を果たした。

 

HiHi沼に戻ってもなお、犬猿の仲には変わりなかった。今日も今日とてタカハシとの喧嘩の日々である。どうも彼のアイドルへの熱意と私の熱意はいつまでも噛み合わないらしい。

なるべく口論にならないように彼には触れないことを心掛け、自担だけを見ることで自分を保っていた。

 

 

それを受け入れようと思えたのは、やはりあの日の出来事が大きい。

 

 

 

 

 

 

 

「僕らHiHi Jets、どのグループより先に、最速でデビューを掴みにいきます」

 

2020年夏、この言葉に救われた気がした。

自担のことはデビューしようが出来なかろうが、ステージに立つ限り好きでいられる自信がある。だから自担のデビューに特にこだわりは無かった。

 

でも、今でも「HiHi Jetsを円盤にしたい」という当初の希望は捨てきれず、また、元担である井上瑞稀のデビューにはこだわっていたいヲタクだったから、あまりにもその点を言及しない彼らに怒りすら覚えていた頃だった。

その怒りを払拭するのが、まさか彼だったとは。

 

 

私とタカハシの唯一の共通認識だった。

 

 

そこから見方が変わり、どうしてこの人を忌み嫌っていたのか、という視点に変わっていった。心を許せた今でも、あぁこの人苦手だなぁ、と思う場面にはしばしば出会う訳だが、最初に私が認識していた理由とは正反対だったのかもしれない。

 

私の「現状」がタカハシなのだと、そう思うようになった。

 

 

 

そう気づいたのはつい最近の代々木競技場MCにてだったわけだけど、ヲタクの共通認識として、そやゆとは真反対にベクトルが向いているのに終着は同じなわけですよ。

その日だってそれは変わらなかったんだけど、タカハシのMCに妙に共感してしまって。

 

猪狩くんが「誰も置いていかない」と言う中で「ついてこい」と言うタカハシ。

揚げ足かもしれないけれど、ついてこい、という言葉にどこか強制的な部分を感じている。私のマインドは常に“コレ”で「HiHi Jetsのスピードに置いていかれないように」「着いていくということは同じスピードで走らなければならない、無理をしてでも」という焦燥感の中で彼らを見ていた。

 

置いてけぼり - 客席に座り続けることの責任

それを救ってくれたのが猪狩蒼弥の言葉だった訳だけれど、私の今のスタンスを後押ししていたのがタカハシであった。自分が自分に苦しめられてヲタクをしているという自覚があるからこそ、彼の一言に怒りを覚えてしまう。ベクトルが同じだからこそ、衝突してしまうのかな、という結論が生まれたのである。

 

 

 

今後も彼とは犬猿の仲であり続けるのだと思う。ただ、出会った頃と変わったことは「あなたが真ん中にいてくれてありがとう」ということ。

これから何度も衝突するのだろうけれど、その都度私は私と向き合えるのだと思う。

あなたがHiHi Jetsで本当に良かった。

 

これからも、末永く。