自分の幸せは自分で守る

「早くヲタク辞めて、彼氏作んな?」

 

大学生になり、ヲタク人生において彼氏を一度も作ってこなかった私に、親も、友人も、この言葉をぶつけてくる。

まるで、恋人がいることが正しい幸せの形だと分かったような顔で。

 

 

気がつけば20歳。一緒に東京ドームで年末を過ごしたあの子も、大学生になったら全ステしようと誓ったあの子も、青春時代をアイドルに捧げた友人はみな、1人の女として誰かに愛されて幸せな日々を送っている。

 

ジャニーズから足を洗った友達が口を揃えて「彼氏はいいよ〜」「早く作りな!」「このイケメンはどう?!紹介するよ!」なんて言ってくれる。ありがとう、私が独り身なことを気にかけてくれて。

…でもよぉ、私は声を大にして言いたい。

勝手にお前らの幸せを押し付けんじゃねえ!!!!!

 

ワイはイケメンが拝みたいだけで毎週少クラ見てるわけでも、特別な対応がされたいからファンサを求めるわけでもねえ!!!前者なら自担と同等の顔面国宝が大学にいたら、彼と付き合うことが幸せだろうし、後者なら優しい彼氏を作ればたっかい金払わなくとも毎日投げチューエアハグなんて屁じゃないくらい構ってくれるであろう。

だが、現役ヲタクの私から言わせりゃ、そんなのまじで価値がない!!!顔が良くても、無償の愛で自分を優遇してくれることも、パフォーマンスができないなら全くもって意味がない。

個人的には、幸せの種類は多ければ多い方が良いと思っているので、恋人がいた方が幸せ、と感じたならば、推しとの両立だって不可能じゃ無いと思う。ただ、今の私にとって恋人という存在は不要なもので、幸せを感じる要素じゃ無い。だから要らない。

 

 

サマパラ2021。猪狩蒼弥は、毎日違ったメッセージを届けてくれていた。猪狩くんにはファンに伝えたいことが沢山あるのだと、そういうアイドルって素敵だなぁと、それを受け取るいちファンとして嬉しく思った。

 

そんな彼が今年の夏伝えたかったことの集大成とも考えられる最終日の挨拶。

今はほんとにいい時代じゃないですか。幸せの形が多様化されてやっぱ一般的に言われる幸せとか、周りの人が思ってる幸せじゃなくても、幸せって言っていい時代になってきてるじゃないですか、ほんとそういう素晴らしい時代に立ち会えたことを俺凄く嬉しい(抜粋)

私もだよ猪狩くん。と思っていると、隣では母が「あんた猪狩以外の話できないの?」と。だから彼氏が出来ないのよ、などと言い放った。何度も言わせるな、恋人は今の私を幸せにする要素じゃ無い。

 

 

勿論、いつだって隣の芝生は青いのだから、恋人がいる人、家庭がある人。幸せに見える人たちにも勿論苦労はあると思う。

この「ジャニヲタ」というカテゴリーにおいては、この幸せを否定される風潮をすごく感じる。そして、女の独り身は不幸だ、という固定概念が今でなお存在することも突きつけられながら、ジャニヲタという世界を生き抜いてきたような気がする。否定されすぎるあまり、この「幸せ」に自信を持てなくなる瞬間が何度も訪れた。

 

 

今の時代、幸せの形が多様化している。だけど、それが周囲に認められるかは別問題だ。

 

自分の幸せは自分で守る。

 

それがこの時代の幸せの定義だと私は思う。あなたの幸せはあなたにしか分からないもので。私の幸せは私だけのもの。この程度のものを守れないなら、人生なんて到底やってけない。どんな幸せの押し付けも軽やかに受け流して、私は私の幸せがあるのだから、とあなた以上に幸せな顔をしてみせるのです。

 

この歳になってもなお、私は客席に座り続けるという選択をした。将来を見据えた時に、この決断を後悔するかもしれない、と恐怖を感じている。それでも私は、ペンライトという武器と彼の作り出すステージで、私は私を幸せにしたいと、そう思ったのです。